資 料
宮城県動物愛護推進協議会委員
アニマルピース代表菅原とみえ
平成27年2月5
日
平成19年宮城県動物愛護推進計画に対する具体的な検討
犬猫の殺処分数が、ここ数年で半減したことは,大変喜ばしいことですが、実際にはまだ多くの犬猫の命が理不尽に奪われていることは、ここにご参集の委員のみならず、多くの県民が
憂慮している問題だと思います。
平成19年宮城県動物愛護推進計画が策定されてから8年が経過している今、殺処分を減少
させる実現可能な対策を構築するが必要であると考えます。
私たち愛護団体は、県、県民、本協議会及びボランティア等との連携をしながら、宮城県動物愛護推進計画を推進に協力していきます。
それには、本県の現状と問題点を検証し、計画を推進するための具体的な方法の検討が必要
だと考えます。
そこで、殺処分を減少させる取り組み、動物と共生できる社会の構築等、各自治体の取り組みを環境省ホームページから別添資料として提出し、本県でも取組める施策を議論する場にすることを提案致します。
資料:別添
「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトー事例紹介」
1 紹介事例
(1)保健所等における引取り数の減少に向けた取り組みの強化
取組主体:千葉県
飼い主から犬や猫の引取り依頼があった場合の事前相談制を確立。
相談があってから2週間は引取りを行わず、今後の対策を検討してもらう。
取組主体:川崎市
ペットを飼育する高齢者の飼い方相談や引取りの減少対策
取組主体:仙台市
動物愛護担当職員への支援として、引取りを求めてきた飼い主に対し、飼養継続へ考えを改めてもらうような指導を外部から講師を招いてロールプレーも交えながら講習を実施。
(2)愛護センター及び保健所担当者と関係団体や個人ボランティアとの連携強化
取組主体:西東京市、立川市、中央区、和歌山県、仙台市(資料外)他すべての自治体
多くが、行政が取組主体となって、関係団体や個人ボランティアと連携して定期的に譲渡会を開催。
立川市では譲渡や相談事業を1か所ではなく、地域ごとに事業を実施、市内全域での活動を行っている。
※譲渡等の機会を増やすように、本県でも愛護センターだけではなく、各保健所単位での関係団体や個人ボランティアとの連携が成果を上げると考えます。
また、現在、宮城県愛護センターで実施している譲渡会を、愛護団体やボランティアの協力を得て実施することを提案します。
譲渡活動・地域猫活動・繁殖制限普及活動・犬のしつけ方教室・猫の飼い方教室は、殺処分を減らすための重要な事業ですが、いずれも僅かな担当職員だけでは容易なことではないと思われます。愛護団体・愛護推進員・個人ボランティア等を活用して、他自治体で実施しているような事業展開することを提案致します。
今後、県動物愛護センターが中心になって、県下全域での譲渡会の開催、愛護団体の連絡調整ができるよう期待しております。
また、譲渡活動の連携の一環として、各愛護団体の収容がいっぱいで引取りができない場合、保護中の管理や費用はよく協議の上、一時的に動物愛護センターで保護する等の連携をお願いしたいのですが。県も私たち団体もさらなる譲渡数を向上させるのに有効な連携対策です。
(3)地域猫活動の推進、避妊去勢対策
取組主体:盛岡市、立川市、中央区、豊田市、埼玉県、大津市、福岡市、徳島県他
愛護団体との連携、地域猫活動団体の登録制度、地域猫対策要綱等の策定、小中学校とも連携して活動、避妊去勢に対する助成制度等地域猫への関心が高い。
人馴れしていない猫の引き取りを行わず、地域猫として生かせるよう対策をし、飼い主のいない猫が地域で共生できるように地域の取り組みを推進し、自治会を含む地域住民、動物に詳しいボランティア、行政、獣医師の連携が必要です。
※ アニマルピースの引取り頭数
以下、図の頭数は、平成20年〜22年まで、保健所(一般者)からの引取り頭数となります。
平成23年からは、保健所からのみ引き取りとなります(主として岩沼・仙南保健所との連携)
犬
死亡
平成26年
31頭
3頭
平成25年
37頭
1頭
平成24年
76頭
5頭
平成23年
58頭
3頭
平成22年
52頭
2頭
平成21年
22頭
2頭
平成20年
19頭
猫
死亡
274匹
13匹
315匹
15匹
260匹
50匹
226匹
6匹
90匹
45匹
24匹
毎年の犬猫の引取り頭数約300頭にのぼり、毎年に掛かる費用が約800万の出費となり、
自己負担も高額となっています。
運営は大変苦しい状況の中で活動を続けているのが現状です。
アニマルピースはNPO法人の組織ではありません。
行政のバックアップ、国や県、市からの援助も無く、企業等が応援してくれているわけでもありません。
保護した犬猫の医療費、フード代にかかる費用は、全て、一般市民、個人の方々の善意の寄付で活動を行っています。早急な対策をお願いします。
2 現状と問題点と提案
(1)犬猫の引き取りについて
飼い主不明猫、野良猫(子猫と成猫)の引き取りは行なっていない地方自治体や、持ち込まれても「元の場所に戻すように」と指導している自治体があると聞いています。
檻(捕獲機)による安易な捕獲が、動物愛護精神に反するばかりか、飼い猫を処分する事態が生じています。
住民の苦情に対する各自治体の立場も理解できるのですが、平成21年2月4日付け環境省
事務連絡
「犬又はねこの引取り業務に当たっての参考事項」
の送付について(別添資料)にあるように、捕獲、引き取り即処分という施策は見直す必要があるのではないと考えます。
他自治体の取り組みを参考にあり方を検討すべきです。
(2)返還率の向上
鑑札や注射済票を首輪に装着させることが大切だが守られてないことが多い。
そのため、市町村と協力して、その普及に努めるべきと考えます。
特に、猫の返還率はゼロに等しいことから、犬と同様に逃げた場合に備え連絡先を明記した
首輪等を義務付け、行方不明になった場合はすぐに警察署と保健所に問い合わせることを県民に周知し定着させることが大切だと思います。「1週間もすれば帰ってくる」と考えている
飼い主が多いようです。
迷子の犬が処分されるケースが多く、鑑札の装着を推進するだけで、殺処分を防ぐことができると思います。
(3)保護動物施設の環境改善について
保健所及び動物愛護センターに収容された犬猫は、過酷な環境で処分(殺処分又は譲渡)を
待たなければならない極限の緊張状態に置かれている動物をやさしく管理できる施設に改善すること。
暑熱寒冷対策について
@すべての保健所(収容施設)に暑熱寒冷対策のための空調設備を整え、猫ケージには暖房敷きマットの設置を基本とし、動物にとって快適な環境を整える。
特に仔猫・老猫・老犬は温度管理に配慮を求めます。
土日、祝、職員の休み期間も含みます。
岩沼保健所、仙南保健所のように担当者の配慮で、犬舎については床暖房化、猫ケージには
暖房敷きマットの設置等を実施している施設もありますが、多くがあまり配慮されているとはいえないのが現状です。
動物の健康と安全確保のため、収容動物の配慮を求めます。
(4)収容後の対応の中で殺処分を決定した理由を回避し譲渡を増やす対策を講じること。
@攻撃性のある犬への対応
攻撃性があるため、殺処分になった犬は、保護収容に至るまでの過酷な状況により、不安・恐怖・怒りから一時的に攻撃的になる犬は多い。
これらの犬に対し、動物愛護会の家庭犬インストラクターやプロ訓練士などからのアドバイス
や接触・訓練などを取り入れ、譲渡可能になるよう時間をかけた対策を講じること。
A攻撃性のある猫への対応
野良猫の場合、人に馴れていないので威嚇は当然であり、譲渡は期待できないが、所有者不明の猫、あるいは飼い猫と主張する持込者であっても、人馴れしていない猫の引き取りは拒否を徹底し、地域猫として生かせるよう対策を講じること。
B病気や怪我の個体への対応
病気や怪我で引き取り収容した犬猫は、放置せず、検査・治療・感染予防など適切に対処し回復に努めること。
また、このような場合、動物愛護センターへ移送し治療を積極的に受けさせること。
C幼齢動物への対応
幼齢のため殺処分になった猫は、飼養・管理の難しい幼齢猫であっても、愛護団体(個人ボランティア)と連携をとり、「預かり」依頼すること、それまでの間、放置せず、ミルクを与え殺処分をしないよう、譲渡が可能にすること。
D譲渡希望がない、高齢、親和性がない個体に対する対応
保健所で長期間飼養したが譲受希望がないため殺処分になる高齢個体や親和性が無い犬猫については、動物愛護センターへ移管し時間をかけて譲受人を探し、高齢であれば短い余生が尽きるまで同センターで世話が受けられるようにすること。
これらの犬猫の保護・収容は、動物愛護センター設置目的の一つであると考えることからボランティアの参加を募り県民と協力して、保護活動を行い県民一人ひとりの動物愛護に対する意識の向上につなげる。
(5)保健所及び動物愛護センターの職員との連携について
おおむね3年ごとの人事異動に伴う担当者の対応に、長年苦慮しています。
担当者の転勤にともない、従来のやりかたを拒否されたりする場合があります。
動物愛護推進計画の推進のためにも、愛護団体の活動にご理解と継続した方針をお願いします。
担当獣医師として、動物の命を救うための優しさと慈愛を是非お願いしたいです。
(6) 殺処分方法の検討
現行の炭酸ガスによる窒息死はあまりにも悲惨で県民に対し、決して現場を公開できるものではありません。
費用面では廉価だと聞いていますが、譲渡等で殺処分数を減少させることによって麻酔注射による安楽死も可能になると思います。
自治体における犬猫の引取り等の業務実施状況 (平成22年資料)
21の自治体が麻酔、注射による致死処分方法を行っています。
茨城県(子犬のみ麻酔注射)、新潟県(麻酔)、福井県(薬物注射)、和歌山県(幼齢老齢のみ麻酔注射)、横浜市(麻酔)、神戸市(幼齢老齢病気のみ麻酔注射)、川崎市(幼齢のみ麻酔注射)、広島市(病気のみ注射)、千葉市(注射)、旭川市(鎮静剤後筋弛緩剤)、船橋市(麻酔後筋弛緩剤)、東大阪市(薬物注射)、下関市(吸入麻酔薬)、西宮市(子犬麻酔注射、成犬鎮静剤後麻酔注射)、新潟市(麻酔後薬物注射)、福井県(薬物注射)、大阪府(麻酔注射)、和歌山県(幼齢老齢のみ麻酔注射)、名古屋市(一部注射)、千葉市(一部注射)、広島市(幼齢病気のみ注射)
本日の提案した内容を次回の協議会でも継続して協議して下さるよう宜しくお願いします。