猫 パルボ 伝染病感染の注意と予防 対策
猫を預かって頂くには、飼われている猫に予防接種が済んでいるご家庭に限らせて頂きます。
保健所などから引き取った猫が感染症にかかっている可能性もあるため、保護宅におかれましては感染拡大を防ぐ措置をお願い致します。
子猫の保護は原則1腹とし、保護頭数増加により止む負えない場合は2腹程度お願いする場合があります。

<経過観察期間>
アニマルピースの過去の保護活動の中で、パルボによる子猫の死亡を経験しております。
パルボは感染力、致死率ともに高いといわれています。
感染後の潜伏期間が2〜14日程度ということで、保健所などからの引取り後2週間は発症の兆候がないか注意深く観察してください。
また離乳期前の子猫などワクチン未接種の時期も感染症にかかりやすく、毎年4月から12月までの期間は他の猫との接触は避け、単独(1腹)で飼育願います。

<安定譲渡期間>

1回目のワクチン接種が完了し1週間程度経過して免疫がついた子猫、引取りから2週間程度経過した子猫と成猫はパルボの感染は無いものとして対応して構いません。
ただし、ワクチン接種後、風邪症状がある場合は、他の猫との接触は避けてください。
ワクチン接種が完了し状態の良い子猫同志は、他の兄弟であっても一緒に遊ばせることが可能です。
感染症予防の観点から、アニマルピースの一時預かりボランティアとして猫を保護している間は、他団体・個人での猫の保護活動(引取り・飼育)はお控えください。

<子猫の分担保護>
子猫の保護が集中する初夏〜秋ぐらいの間、1腹を保護して2週間の経過観察期間の預かりをしていただく方と2週間経った子猫たちを集めて預かりしていただく方とに役割を分けてお願いする場合があります。
ただし、風邪症状などもあるためワクチン接種完了までは同じ預かり宅においても接触させないようにしてください。

お世話していた子猫を短期間で手放して別の子猫を保護していただくことになりますが、これは、経過観察期間を経てパルボではない子猫と感染の有無がわからない子猫を分けて、効率的に保護を行うための措置です。
ご理解の上、アニマルピースの指示に従ってください。

アニマルピースにおいて平成27年、パルボが発生した際には高額の治療費(投薬治療)がかかり、また、亡くなった子の火葬料もかかるなど財政的に厳しい状況になりました。
当会は一般の方の寄付に頼って運営しているため、予想外の多額の出費は大変重く、保護活動を縮小せざるを得なくなる可能性もあります。
また、保護猫が衰弱し死亡していくのを見届ける一時預かりボランティアさんにとっても精神的負担の大きいものとなります。
ぜひ、パルボ感染拡大予防の重要性をご理解下さるようお願い致します。

万一、パルボ等感染力、致死率の高い感染症にかかった場合、子猫の状態と獣医師の助言により、安楽死を選択する場合があります。その際は、アニマルピースの指示に従ってください。
<ワクチン接種と通院について>
ワクチン未接種の保護猫が体重600グラムになりましたら、アニマルピースで指定する動物病院にて混合ワクチン(早期接種)をお願いします。
2回目のワクチン接種は1回目のワクチン接種から1か月を目途に行ってください。
なお、里親募集会への参加は1回目のワクチン接種後1週間程度経ってからとなります。
その際、必ず会場へワクチン証明書をお持ち下さい。

受診の際、アニマルピースより各病院へ事前連絡をしております。
ワクチン接種等受診の前には代表菅原までご連絡ください。
初めてのワクチン接種の際には、病院へ連絡を入れ直近のパルボなど感染症動物の受診がないか確認の上、必要に応じ、車の中など院外でのワクチン接種を依頼する場合があります。
診察待ちの間も待合室ではなくできるだけ院外(車の中など)でお過ごしください。

<パルボ伝染病について>
パルボは、猫パルボウィルスの感染によっておこる、猫パルボウィルス感染症や猫汎白血球減少症と呼ばれる病気です。
人には感染しません。このウィルスの生命力や感染力は高く、残存ウィルスは半年〜1年以上も感染力を持つとも言われます。また、アルコール消毒や一般的な消毒薬ではあまり死滅せず除去するのが困難なウィルスです。
主な症状は下痢、嘔吐ですが、感染の初期には元気消失、食欲減退、発熱など病気の特定が難しい症状が現れます。
末期にはトマトジュースのような便と激しい嘔吐が見られます。
治療薬はありませんが、インターフェロンやタミフルの投与をすることがあるようです。
感染の初期に適切な治療を行うことで回復することもありますが、小脳に障害を残し後遺症として運動神経系の異常(足のふらつき、体の震えなど)がでることがあります。
感染経路は感染猫の糞尿、嘔吐物、唾液、鼻水からの接触感染で、接触した人がウィルスを媒介することがあります。
そのため、感染猫を隔離し、使用した物はすべて消毒又は廃棄をします。
保護主も、感染猫と接触した衣類(エプロン、手袋など)は着替えて、他の猫に感染が広がらないようにしてください。
また、屋外環境中にもウィルスが存在しているため、猫の保護期間は必ず室内飼育をしてください。
パルボから回復した猫の糞尿中にもウィルスは数週から数カ月ほど含まれるようです。
感染した猫は回復後も隔離を続けてください。
預り中に猫が死亡した場合、病院へ便を持ち込んで、パルボに感染していたか検査をしてもらうことが出来ます。

パルボ感染を調べる検査キットがあり、もし、病院から検査キットを貰える場合、各自で陰性、陽性を調べてることができます。
死因が分かっていれば、次の保護受け入れ時に参考にできると思います。
ただし、感染していても検査キットで陽性にならないこともあるようなので、猫の入れ替え時は十分消毒をして下さい。
パルボ伝染病についての他者のサイト

<消毒について>
パルボにはアルコールなど一般の消毒薬はあまり効果がないので、塩素系薬品(ハイタ―、ブリーチなど)を用いて消毒を行ってください。
500mlペットボトルにハイタ―原液2.5〜10cc(ペットボトルのキャップで0.5〜2杯)に水500ccで希釈し消毒してください(他の塩素系消毒薬を使う場合も濃度200〜1000ppとなる様に調製してください)
ウンチやエサなど有機物の汚れがあると消毒効果は極端に落ちます。
あらかじめティッシュなどでこれらの汚れを取った後に消毒をします。
食器など漬け込める物は30分から1時間漬け込み消毒してから水でよく洗ってください。
使用の際は表示されている注意事項をよく読み、塩素ガスや手荒れなどに十分注意して、マスクや手袋を使用しましょう。

<猫がパルボに感染した(と思われる)ときの対処
獣医師にパルボ感染の可能性を伝え、タミフルの処方、インターフェロン投与、輸液について相談してください。
タミフルは人のインフルエンザ用の薬で、パルボウイルスには適用外の物ですが、インターネット上の情報や当会預かりボランティアさんの体験よりパルボからの回復に役立つのではないかと思います。
タミフルは感染の初期に投与することで、インフルエンザウイルスの酵素を阻害して増殖を抑える薬で、これらのウイルスは種類が違いパルボウイルスにはその酵素が無く何故効くのかはよく分からないようです。
ただ、適用外であり獣医師の裁量と飼い主の了解で行われるものであること、人の場合も様々な副作用があること、猫についてはっきりした副作用報告があるか不明なことを十分理解した上で、パルボの致死率の高さを考えて治療の選択肢となるのではないかと考えます。
インターフェロンは免疫力を高める作用があります。
輸液は嘔吐、下痢で脱水症状になっていて、水分などが経口摂取出来ない場合に行います。
いずれも獣医師に相談の上、必ず指示を守ってください。