ミルク授乳猫・子猫の預かりについて

預かりして頂く上で、獣医のアドバイスを元に菅原がこれまでの経験した注意事項です。
子猫を育てるにあたり、スキンシップはとても重要です。
お世話をしたり、なでたり、抱いたり、遊んであげるなど、たくさんスキンシップを図るほど、猫は人に慣れやすくなり、良い家庭猫になります。
 

子猫のストレス発散のためにもコミュニケーションは大切です。

子猫は母猫になめられることでリラックスし、温もりによって安心します。
撫でたり、抱いたり、名前を呼んであげたり、遊んであげる 母猫のような気持ちで子猫と接することがどんなときでも大切です。
別々に育った(兄弟ではない子猫)を一緒にすると、強い子弱い子の関係でいじめられたり、互いの存在がストレスになったりします。
小さい乳飲み猫でも、あるいは1匹だけで保護され寂しいだろうと思っても、兄弟ではない別の子と一緒にすると、小さな乳飲み猫でも、匂いを嗅ぎわけ、ストレスになったりします。
特に、月齢が違う場合は体格、運動能力に差がでるので、遊ばせること自体を避けて下さい。
仲よく遊んでいるように見えても、一方がストレスを感じ、一緒にしてから2日後くらいに食欲低下や元気消失で亡くなってしまうことがありますので絶対に一緒にしないで下さい。

子猫の週齢に応じて数時間のミルク・離乳食やりが必要です。

100g(生後1週齢) 体重は (1日約10g増えます)
300g (生後2~3週齢)
子猫は1日3時間~5時間おきの授乳が必要です。
預かりボランティアの皆さんには、ワンラック キャットミルクニチドウ ベビーミルクの2種類の粉ミルクをお渡ししますので、混ぜて与えてください。
ミルクの種類を変えると下痢などをするかもしれないので、預かり中は同じミルクを使って、
毎回濃さが一定になる様に調製してください。
ミルクは38℃ぐらいに温めます。
ミルクは薄かったり、濃かったりしないように一定の濃度になる様に調製してください。
ミルクが薄いと下痢をしたりしますので、スプーン1杯の量を増やして与えて見てください。
人用の牛乳は下痢から脱水症状を起こし、命を落とす危険がありますので、絶対に与えないでください。
ミルクの飲ませ方は、うつ伏せで飲ませる姿勢が基本です。
お腹を仰向け(お腹を上に向けて)飲ませると消化不良を起こしやすいので注意してあげてください。

ミルクを飲まないとき
与える間隔を延ばしてみてください。
乳首の吸い口の穴が小さいなどが原因の場合があります。
子猫の頭を手で囲い親指と人差し指で子猫の口元を軽く挟み、乳首を口元から少し離して誘ってみてください。
食べないときが続くときについて(ミルクを飲まないとき)
粉ミルクは栄養効果が高いです。
ミルクを与える前に、極細シリンジ数本に先にミルクを準備して与えてください。
胃腸の負担を考え、少量のミルクを30分~1時間間隔で与えてみてください。
(ミルクは口の中に流し入れやすいからです)
排泄にはサポートが必要。
離乳前の子猫は自力で排泄ができないので肛門やオシッコが出る場所を、密着した状態で軽く触れたままモミモミして刺激し、排泄を促します。
強く触れると、子猫が排便のときに出しにくくなります。
トイレ容器の猫砂は子猫の体重300gくらいから用意してあげて下さい。
体温維持(保温)
寝床は暖かくして、子猫が居心地の良いくつろげる場所を作ってあげてください。
寝床内温度を常に30度前後に保つ工夫が必要になります。
使い捨てカイロがなければ湯たんぽや、お湯を入れたペットボトルでも代用できます。
湯たんぽの場合、冷めてしまうと逆に体を冷やすため、 適度に交換してあげて下さい。
400g (生後1カ月くらい)
ミルクから離乳食に切り替える事が可能になります。
ロイヤルカナンペーストは、費用が無いため子猫用 カルカンパウチを配っています。
(ロイヤルカナンのぺーストやa/d缶は栄養価が高いですが、高額のため費用を考え購入していません)
アニマルピースでは、子猫用のロイヤルカナンドライフードを配っています。
カルカンパウチに子猫用 ロイヤルカナンドライを早目に混ぜておいて柔らかくして与えてください。
(ロイヤルカナンドライフードは栄養価が高いので、十分と考えています)
お湯や水は加えないでください(水分で栄養価が薄まることと、下痢をし易くなるからです)

成長とともにご飯の与える間隔を延ばしてください。
また、この頃から水も飲めるようになりますので、新鮮な水がいつでも飲めるようにしておいて下さい。
離乳食開始後は、すべての子猫がちゃんと食べているかを確認するようにお願いします。
食べる様子や体重の増加を確認して、発育が遅れている個体がいれば、特別に隔離してエサを与える時間を設けたり、ミルクを与え栄養を補充してあげてください。

500g (生後1カ月半くらい)
この時期になれば、離乳食からドライフードに切り替える事が可能になります。
子猫は、ドライフードよりもウェットフードを好みます。
離乳後すぐは、子猫用ウェットフード(主にカルカンパウチ)をお渡ししていますが、この頃から缶詰の魚正、鶏正(成猫用)も食べられますので、経費節減のため、缶詰を与えて下さい。
成長とともにドライフードの硬さ(混ぜ方)の調整をして少しずつ、ドライフードに切り替えてください。

600g (生後1カ月半くらい)
譲渡時に里親さんに渡すフードはメディファスの子猫用フードなので、この頃から準備として、メディファスのフードとロイヤルカナンドライフードを混ぜて与え、少しずつ、メディファスのフードだけを与えるように切り替えて行ってください。
成長時期は、制限しないでいつでも食べられるようにしてください。

伝染病予防の早期ワクチン接種が受けられるようになります。
(接種後、他の預かりさんへ移動が可能になり、預かり収容状況により他の預かりさんへ移動をお願いする場合があります。
引続きお世話が可能であれば、新たな哺乳期の子猫の預かりをお願いする場合があります。

子猫の預かり先移動
※効率的に受け入れ保護を行うための措置です。
未接種の子猫を他の預かり宅へ移動する場合は、感染を防止するために、保護から2週間が経過し、病院受診や病院の出入りをしていない、保健所の搬送を担当していない、結膜炎、真菌症、風邪症状が無い子猫は病気の感染やパルボの感染は無いものとして別の預かり宅へ移動をお願いしています。

800g (生後2ヵ月くらい)
里親募集会にエントリーし、募集会場へ連れて行き、新しい家族を待つ時期を迎えます。
(里親募集会に参加が近づいた頃に、菅原へ写真添付をお願いします)

<自宅で投薬と健康管理をお願いします>
預かり期間中(ワクチン未接種の場合)感染を防ぐため、預かり宅移動など止むを得ない場合以外は、なるべく病院へも、外に連れ出さないようにお願いします。

元気がある状態で軽い風邪症状(くしゃみ、鼻水、目ヤニ)の場合は目薬、抗生剤、抗ウイルス剤で対応してください。

吐いて食べないときは、少量のミルクを30分~1時間間隔で与えてみてください。
子猫の胃袋は小さいため、一度にたくさんの量を食べることが出来ません。
一度にたくさん食べると、吐いたり、下痢をしたりします。


下痢や嘔吐の症状の対応
下痢をしていると、トイレ周りに飛び散る砂が多くなり、不衛生になりやすく、飛び散った砂が他の子のケージにまで入ると、そこから寄生虫などに感染します。

下痢の原因は食事、ストレス、食べ過ぎ、感染症 (その他、他の猫と一緒にした、移動で預かり先が変わった、接し方が変わった)、寒さ、などが考えられます。
何度も下痢をする、食欲がない、嘔吐する、便に血が混じっている、他の症状もあるのは、ジアルジア、トリコモナス、原虫、コクシジウムなどの寄生虫やウイルスに感染している場合です。

下痢が続くと、子猫は体力がなく、脱水により衰弱してしまう危険があるので、下痢症状が現れたら早目に下記の対応をお願いします。

ジアルジア、トリコモナス、原虫などの駆虫のお腹の薬、抗菌剤(1日1回、4~5日間、服薬)で対応してください。
血便などの症状の場合は、コクシジウムの1回投与の駆虫薬で対応してください。
抗菌剤、コクシジウムの服薬で改善されないときは、整腸剤もしくは下痢止めの薬を服用させてください。


投薬は、下痢症状が出る前に予防的に与えても構いません。
引取ってすぐに抗菌剤を1日1回、4~5日間投与、その後、コクシジウムの駆虫薬の投与を行ってください。
体重が200グラム以下の子猫は寄生虫が育たないそうなので、コクシジウムの駆虫薬と虫下しのドロンタールは不要です。

保護した時点で、400gの場合は、コクシジウムの駆虫薬と虫下しのドロンタールは、服薬で対応してください。

薬のほとんどは、苦いですので飲むのを嫌がる猫がほとんどですが、それでもシリンジで効率的に猫の口に薬を流し込んでください。
※薬をミルクやフードに混ぜて与えるとミルクやフードを嫌がるようになり食べなくなるため、一緒に与えないで下さい。
食事に混ぜると食べなくなるので、薬がその分ムダになり、病気の治療も遅れ、経済的にも猫も負担が増えてしまいます。
病院により渡される薬が違うようで、苦みが強い薬があります。
なるべく苦味の少ない薬を与えてください。
子猫により、苦味から、精神的ストレスから、食欲が落ちる子がいます。

消化器の症状が激しい時は、ミルクの他にガムシロップを薄めたもので栄養を補給して脱水や低栄養を防いでください。

抗菌剤、駆虫薬、整腸剤などを投与しても下痢が続く場合は、体質的に、与えているミルクやフードが合わない可能性もあります。消化器症状に対応した療養食などを用意しますので、ご相談ください。

また、早目に病院で、皮下補液の通院をお願いします。

不安があるときは、入院が出来る病院があるときは、病院へお願いしてみてください。
但し、保護猫に限らず、未接種の伝染病感染を心配し、入院を嫌がる病院がほとんどです。

薬の与え方
<粉のお薬の場合>

薬が入ったビニールに少量の水を加え、極細のシリンジで吸い込み与える。

<錠剤のお薬の場合>
中細シリンジの中に薬の錠剤を入れ、シリンジの中で薬を溶かし与える。
 

寄生虫などの便検査(未接種の子猫の場合)
動物病院に便だけを持って行く。できれば、異常のあった便を持参するとよいです。
採取する量は親指の先程度で十分です。
採取した便は、ティッシュや布などに包まず、ラップフィルムで包むか、プラスチックの容器や紙コップに入れて持っていきます。
便の検査をしてもらって、パルボに感染している場合には、タミフルの投与やインターフェロンの投与が良いという情報もあるようですが、確立した治療法はありません。
パルボを発症した場合は命を落とすことがほとんどです。

便秘の場合の対応
子猫の便秘の原因は、肛門への刺激不足、水分不足、運動不足、ストレス、異物誤飲、回虫症などいろいろあるようです。
便が出づらい時は、水分補給としてミルクを薄めて調製して与えるか整腸剤を与えて下さい。
便を出す時には、人間の赤ちゃん用の一番細い綿棒を子猫の肛門に1センチ程入れて、排便を促して下さい。
上記対応をしても便秘症状が長く続く場合は、獣医師の診断を受けて下さい。

ノミ、ダニ、シラミの駆除
ノミ、ダニ、シラミの駆除薬剤は200グラムからの子猫に使用が可能で(フロントラインスプレーの使用をお願いしています)1回のスプレーで1カ月効果があります。
シラミの卵に対しては、1回目のスプレーの1週間後、更に1週間後に再スプレー(計3回)するのが、孵化したシラミ駆除に効果があります。
預かりボランティアさんには小さいスプレー容器に入れてお渡ししています。
使用する際に、子猫の顔や目に入らないよう、お願いします。
フロントラインスプレーの使い方

フロントライン、ブロードライン、レボルーションの(スポットタイプ)は、生後2カ月からの使用となり、生後2カ月未満の子猫に使用すると、副作用を起こしますので、使用していません。

目の症状
目やにがひどい場合はまぶたが閉じて開かなくなることがあります。
まぶたの中で膿んでいるかもしれませんので、閉じたまぶたの上から目薬を垂らして、自然とまぶたが開いたら、まぶたの中の膿を出してあげてください。
長い期間、閉じたまま放置すると失明します。

引取り後、子猫の目のふちに赤みが出ていないか確認をお願いします。
結膜炎で赤くなっていると、兄弟猫や移動先の子猫などに感染が広がってしまいます。
目の赤みは、まぶたをめくって内側までよく見て観察してください。
気になる時は予防的に目薬をつけておいても構いません。

子猫のシャンプー
子猫(特に乳飲み猫)は糞尿で体が汚れやすくなります。
放っておくと、カビ菌が増殖して真菌(猫カビ)になることがあります。
症状としては 頭頂部•耳の上 、脚の内側、しっぽの先など、毛が「はげます」
真菌(カビ)は他の猫や人間に感染します。

準備する物、洗面器 2個、猫用シャンプー、フェイスタオル(小型のタオル)
〇子猫の洗い方
洗面容器 2つにぬるめのお湯を入れます。
子猫のおなかが浸かるくらいの高さがベストです。

1つの洗面容器のお湯の中にシャンプーを入れて混ぜます。
子猫を洗面容器にゆっくり入れて、全身をきれいに洗います。

お湯の入った2つ目の洗面容器の中にゆっくり入れて、シャンプーを洗い流します。
体が小さいため、十分にすすげます。
猫は水にぬれるのを嫌うので時間を掛けず、素早く行ってください。
洗い終わったら、タオルで拭いて水分を吸収して乾かしてあげてください。
※菅原の場合、ドライヤーは猫がストレスになると思い、使用していません。
冬場の寒い気温ではないので子猫の体はすぐに乾くと思います

病院搬送
体重が増えないなど、体調に変化がある場合は、菅原へ連絡の上、早めに指定病院へ通院をお願いします。
通院の場合は、病院の出入りの扉やドアノブなど院内の物に直接触れないように手袋や(消毒薬をしみこませた)タオルなどを準備して感染対策をお願い致します。
通院時は(未接種に関わらず、風邪感染の他に感染防止のため) 受付に動物を連れて行かず、受診の順番が来るまでは車中で待機するなど、できるだけ院内にいる時間を少なくしてください。

便中寄生虫の検査、パルボ伝染病の検査をする場合は、便のみを病院へ持ち込み、病院への出入りについては同様に上記の注意をお守りください。
日ごろのスキンシップを通して、体重や体調の変化や食事などで健康管理をお願いします。

環境の注意

ハエや蚊が多くなる季節に蚊取り線香(液体も含む)などを使うと、臭いに敏感な猫は食欲を落としてしまうことがあります。
網戸を適切に使うなど化学薬にあまり曝されない空間を心がけて下さい。
煙草、過剰な香料付き消臭剤なども猫には好ましくありません。

保護時に必要な物資は当会から貸与または支給いたします。
粉ミルク、哺乳器、乳首のみ(替え用)、ウェットフード、子猫用ドライフード、ほっかいろ、電気カーペット、測量器、ウェットテッシュ、トイレシーツ、ブランケット、トイレケース、猫トイレ砂、マット類、キャリーケース、ケージ
その他、目薬、整腸剤、抗菌剤などの薬類、消毒薬(ビルコン)、シリンジ細 中細、